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生成AIの使い方|業務別の早見表と始め方

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株式会社Global Design Factory 代表取締役 高橋 遼

株式会社Global Design Factory 代表取締役

高橋 遼

北海道大学工学部でAIによる自然言語処理を研究。P&Gにてビッグデータ解析・消費者分析を担当した後、伊良コーラのマーケティング責任者を経て、現在は株式会社Global Design Factory代表取締役として、中小企業を中心にAIを活用した業務効率化・自動化を支援。

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生成AIの使い方|業務別の早見表と始め方

生成AIの使い方は「どの業務で使うか」から決める

「生成AIを仕事で使ってみたいが、何に使えばいいか分からない」「一度触ってみたものの、日々の業務では開かなくなった」という声は少なくありません。生成AIは文章・要約・資料・分析・コードと何にでも使えるぶん、どこから手をつけるかが見えにくいツールです。

つまずく原因の多くは、操作の難しさではなく「任せる業務が決まっていないこと」にあります。そこで最初に、業務ごとに「生成AIに任せる部分」「使うツール」「そのまま試せるプロンプト」を一覧にした早見表を置きました。自分の仕事に近い行から試し、手応えがあれば社内に広げる手順、守るべきルール、費用と補助金の順に読み進められる構成です。


業務別の使い方早見表

日常業務でよく使われる場面を、任せる作業・ツール・プロンプト例の組み合わせでまとめました。ツール欄の「チャットAI」は、ChatGPT・Claude・Gemini・Microsoft Copilot のような対話型の生成AIを指します。

業務生成AIに任せる部分使うツールの例プロンプトの例詳しい手順
議事録文字起こしから決定事項・宿題を抜き出して整形文字起こしツール+チャットAI、Teams 会議なら Microsoft 365 Copilot「この文字起こしから、決定事項・宿題(担当者と期限)・保留事項を表にしてください」生成AIで文字起こしをする3つの方法
要約長い資料・メールスレッド・論文の要点整理チャットAI「この資料を部長向けに3行で要約し、根拠になった箇所も示してください」AI要約のやり方とプロンプト
資料作成企画書・提案書の構成案と下書きチャットAI、PowerPoint の Copilot「次の要点で、10枚構成の提案資料の目次と各スライドの見出しを作ってください」AI資料作成ツールの比較と使い方
スライド構成案からスライドファイルを作成Claude など「この構成で、1枚1メッセージのスライドを作ってください」Claudeでパワポを作る方法
メール・文章下書き、言い換え、トーンの調整チャットAI、Outlook の Copilot「取引先に納期の1週間延期をお願いするメールを、丁寧な文面で書いてください」AI文章作成ツールの選び方
校正誤字脱字・表記ゆれ・分かりにくい文の指摘チャットAI、校正ツール「誤字と表記ゆれを指摘し、修正前と修正後を表で示してください」AI文章校正ツールの比較
データ分析集計、傾向の読み取り、仮説出しファイルを読み込めるチャットAI、Excel の Copilot「この売上データを月別・商品別に集計し、増減の大きい項目を3つ挙げてください」生成AIでデータ分析を始める手順
グラフ表データからグラフを作成チャットAI「この表から月次推移の折れ線グラフを作り、軸ラベルを日本語にしてください」AIでグラフを作る手順
コーディングコードの生成・修正・解説、Excel 関数やマクロチャットAI、AIコーディングツール「このエラーの原因と修正方法を、修正後のコード付きで説明してください」AIプログラミングツールの比較
翻訳社内文書・メールの翻訳と、ニュアンスの調整チャットAI、翻訳ツール「この英文メールを日本語に訳し、相手が求めている対応を箇条書きにしてください」―
経理などの定型業務仕訳の確認補助、手順書や問い合わせ回答の下書きチャットAI「この経費精算のルールを、新入社員向けのQ&A形式にしてください」経理業務の効率化の進め方

表のどの行でも、生成AIの出力は「下書き」として扱い、最後に人が事実と表現を確かめます。数字・固有名詞・日付は特に誤りが出やすい部分です。

対面の会議が多い場合は、録音から要約までを1台で行うAIレコーダーの比較も選択肢になります。翻訳は、チャットAIのほかに DeepL 翻訳 のような翻訳専用のツールもあります。


業務で使う主な生成AIツール

早見表の「チャットAI」にあたる汎用ツールは、次の4つが代表的です。どれも無料で試せるので、まず1つを選んで早見表の1行を試してみるのが近道です。

ChatGPT は OpenAI が提供するチャットAIです。文章作成・要約・アイデア出しから、ファイルを読み込んだ分析まで幅広く使えます。

Claude は Anthropic が提供するチャットAIです。Claude の料金ページによると、無料プランでもWeb検索やファイルの作成・コードの実行が使え、長い資料の読み込みや文章の作成に向いています。

Gemini は Google が提供するチャットAIです。Google アカウントがあればすぐに使い始められます。

Microsoft Copilot は Microsoft が提供するAIアシスタントです。法人向けの Microsoft 365 では、Microsoft Learn の Copilot の概要にあるとおり、ライセンスに応じて Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teams の中で Copilot を使えます。Word での下書きや要約、Excel でのデータ分析、Teams での会議の要約と文字起こしなど、普段のアプリから離れずに使えるのが特徴です。

社内で Microsoft 365 や Google Workspace を使っている場合は、普段のアプリと連携できるツールから始めると、業務の流れを変えずに済みます。


基本の使い方:登録から出力の確認までの3ステップ

ツールごとに画面は異なりますが、生成AIの基本的な使い方はおおむね共通しています。

ステップ1:ツールに登録する

多くのサービスは、メールアドレスや Google アカウントで登録すれば無料プランからすぐに試せます。業務で使う場合は、会社が許可しているツールか、入力した内容が学習に使われない設定になっているかを先に確認します。

ステップ2:プロンプト(指示文)を入力する

チャット欄に、作りたいものや聞きたいことを文章で入力します。「何を」「誰に向けて」「どの形式で」を具体的に書くほど、期待に近い結果が返ってきます。

ステップ3:出力を確認して直す

出力をそのまま使わず、事実関係や表現に誤りがないかを人の目で確かめます。意図と違うときは「もっと短く」「表にして」と追加で指示し、やり取りを重ねて仕上げます。


伝わるプロンプトの5つのコツ

同じツールでも、指示の出し方で結果の質は大きく変わります。

  1. 具体的な条件を添える: 「文章を書いて」ではなく、「30代の会社員向けに、300字程度で〇〇を紹介する文章を書いて」のように、読み手と分量を伝えます。
  2. 役割を与える: 「あなたは経験豊富な営業担当です」のように立場を決めると、目的に合った視点の回答が得やすくなります。
  3. 出力の形を指定する: 箇条書き・表・文字数など、欲しい形を先に伝えます。
  4. 工程を分ける: 「まず構成案を作って」「次に本文を書いて」のように、複雑な依頼は段階に分けます。
  5. 材料を渡す: 社内の前提や過去の資料など、AIが知らない情報は貼り付けて渡します。生成AIの出力は、渡した材料の質に左右されます。

業務別にそのまま使える例文は生成AIプロンプト集に、うまく答えが返らないときの直し方はAIへの質問のコツとNG例にまとめています。


業務に定着させる4つのステップ

個人で試して手応えがあっても、それだけでは社内に定着しません。「どの業務に当てはめるか」を計画的に見極め、小さく試してから広げる手順を踏みます。

1. 今の業務を洗い出して課題を見つける

最初に、社内の業務を書き出し、時間がかかっている作業や非効率な手順を洗い出します。次のような業務を中心に見ると、生成AIを使える場面が見つかりやすくなります。

  • 文章の作成・編集: メール、提案書、報告書、プレスリリース
  • 情報収集・要約: 長いレポートの読み込み、会議の議事録作成
  • データの整理・分析: 集計、分類・タグ付け、傾向の把握
  • 問い合わせ対応: 社内Q&Aや顧客からの一次回答
  • 企画・制作: アイデア出し、画像作成、プログラムコードの記述

その中から「頻度が高いもの」「担当者しかできない(属人化している)もの」「ほかの作業を止めているもの」を優先してリストにします。他社がどの業務から手をつけているかは、業務効率化の具体例が参考になります。

2. 現場の声を集める

経営陣やIT部門だけで決めず、現場の社員を巻き込みます。日々の手作業や「ここを楽にしたい」という課題を一番よく知っているのは現場の担当者です。

  • 社内アンケート: 「毎日・毎週繰り返している作業は何か」「時間がかかっている事務作業は何か」を具体的に聞きます。
  • ワークショップ: 生成AIでできることを簡単に紹介したうえで、「自分の業務のどこに使えそうか」をグループで話し合います。
  • ヒアリング: 各部署の中心となる担当者に、部署ごとの課題を聞き取ります。

3. 生成AIの得意分野と照らし合わせて優先順位をつける

集めた課題を、生成AIの得意・不得意と照らし合わせます。生成AIは文章作成・情報整理・アイデア出しが得意な一方、最新の正確な数値や専門的な判断は苦手です。得意・不得意の全体像は生成AIのメリットとデメリットで確認できます。

候補は「実現のしやすさ」と「期待できる効果」の2軸で並べると、着手の順番を決めやすくなります。

  • すぐ取り組む領域(実現しやすく効果が大きい)
    • 例:資料の要約、メールの返信文の作成、社内文書の校正
    • まずはここから始め、成功体験をつくります。
  • 中長期で取り組む領域(実現は難しいが効果が大きい)
    • 例:自社データと連携した社内検索、複数の作業をまたぐ自動化
    • システム開発やセキュリティの検証が必要なため、計画的に進めます。

複数の作業をつなげて自動化する段階では、AIワークフローやAIエージェントの考え方が役に立ちます。違いはAIワークフローとエージェント・RPAの違いで整理しています。

4. 体制をつくり、小さく始める

候補が決まったら、全社展開を急がず、特定の部署やチームで小さく試します。

  • 部署をまたぐチームをつくる: 現場の担当者、IT部門、セキュリティ・法務の担当者が一緒に進めます。
  • 効果を数字で測る: 「作業時間が何時間減ったか」「作成にかかる日数がどう変わったか」など、試す前と後を比べられる指標を決めます。
  • ルールを決める: 入力してはいけない情報や、出力を確認する手順を明文化し、安心して使える状態を整えます。

社内ルールとリスク対策

業務で使うときは、効果と一緒にリスクへの備えも決めておきます。

  • 情報漏えい: 個人情報、取引先の機密情報、社外秘の資料を安易に入力しないようにします。入力した内容がAIの学習に使われる設定になっていないかも確認します。原因と対策はAIによる情報漏えいの原因と事例で詳しく扱っています。
  • 誤った情報(ハルシネーション): 生成AIは、事実と違う内容をもっともらしく出力することがあります。重要な情報は必ず元の資料で確かめてから使います。
  • 著作権: 生成した文章や画像が既存の著作物に似てしまうことがあります。社外に公開する用途では、確認の手順を決めておきます。
  • 使い方のばらつき: 利用してよい業務や入力禁止の情報を決めないまま導入すると、部署ごとに使い方がばらつきます。ルールの作り方は生成AIガイドラインの作り方を参考にしてください。

費用の目安と、補助金・研修の活用

ChatGPT・Claude・Gemini・Microsoft Copilot はいずれも無料で使い始められ、利用量を増やしたい場合や法人で管理したい場合に有料プランを選びます。たとえば Claude は個人向けの Pro が月20ドル(月払い)、法人向けの Team が1人あたり月25ドル(月払い)からです。Gemini はGoogle AI のプランで、Google AI Plus が月725円、Google AI Pro が月2,900円となっています(いずれも2026年10月時点)。料金は改定されることがあるため、契約前に各社の料金ページで確認してください。

社内に広げる段階では、ツールの利用料に加えて、社員教育やシステム連携の費用がかかることがあります。国や自治体の制度で負担を抑えられる場合があり、使える制度はAI導入に使える補助金の一覧で確認できます。社員向けの教育を外部に頼む場合は、AI研修の選び方と費用が参考になります。


よくある質問

Q. 生成AIの正しい使い方とは何ですか?

操作を覚えることだけが使い方ではありません。どの業務に、どの場面で当てはめるかを決めてから使い、出力を人が確認する流れをつくることが、業務での正しい使い方です。

Q. 生成AIを仕事で使うとき、最初に何をすればいいですか?

業務別の早見表から、自分の仕事に近い作業を1つ選んで試すのがおすすめです。メールの下書きや資料の要約のように、毎日発生して結果をすぐ確かめられる作業から始めると、効果を実感しやすくなります。

Q. 生成AIは無料で使えますか?

ChatGPT・Claude・Gemini・Microsoft Copilot は、いずれも無料プランから使えます。業務で継続して使う場合は、利用量の上限やデータの扱い、管理機能を踏まえて、有料プランや法人向けプランを検討します。

Q. 会社の情報を入力しても大丈夫ですか?

会社の利用ルールで許可された範囲だけにします。個人情報や機密情報は入力しないこと、学習に使われない設定や法人向けプランを選ぶことが基本です。

Q. 社内で生成AIの使い方を広めるにはどうすればいいですか?

マニュアルを配るだけでなく、基本操作とプロンプトのコツを学ぶ勉強会を開き、実際の業務を題材にした演習を取り入れると定着しやすくなります。うまくいった使い方を社内で共有する場をつくることも効果的です。


まとめ:生成AIの使い方は「どの業務に任せるか」から見えてくる

生成AIを仕事で使いこなす近道は、ツールの操作を覚えることより先に、任せる業務を1つ決めることです。早見表で自分の仕事に近い作業を選び、プロンプトの例をそのまま試すところから始めてみてください。

社内に広げる段階では、次の4つのステップを順に進めます。

  1. 今の業務を洗い出して課題を見つける: 時間がかかっている作業や属人化している業務を書き出します。
  2. 現場の声を集める: アンケートやヒアリングで、現場が本当に困っている課題を集めます。
  3. 得意分野と照らし合わせて優先順位をつける: 「実現のしやすさ」と「効果」の2軸で着手の順番を決めます。
  4. 体制をつくり、小さく始める: 部署をまたぐチームで小さく試し、効果を数字で確かめながら広げます。

あわせて、入力してよい情報や出力の確認手順といった社内ルールを整え、効果測定の結果を関係部署と共有していくと、活用の範囲を無理なく広げられます。

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