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AIオーケストレーションとは?5つの型と始め方

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株式会社Global Design Factory 代表取締役 高橋 遼

株式会社Global Design Factory 代表取締役

高橋 遼

北海道大学工学部でAIによる自然言語処理を研究。P&Gにてビッグデータ解析・消費者分析を担当した後、伊良コーラのマーケティング責任者を経て、現在は株式会社Global Design Factory代表取締役として、中小企業を中心にAIを活用した業務効率化・自動化を支援。

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AIオーケストレーションとは?5つの型と始め方

AIオーケストレーションとは、複数のAI(モデルやAIエージェント)とツール・データを1つの業務の流れとしてつなぎ、順番・役割分担・受け渡し・監視を管理する仕組みのことです。オーケストラの指揮者が楽器ごとの演奏を1曲にまとめるように、AIごとの仕事を組み合わせて1つの業務を最後まで進めます。

1つのAIに何でも任せるのではなく、「調べる役」「書く役」「確かめる役」のように分け、誰が何を受け取り、何を渡すかを決めておく点が特徴です。以下、AIエージェント・AIワークフロー・RPAとの違い、代表的な5つの型、Claude Code や Dify、Copilot Studio での実例、小さく始める手順と注意点を順に説明します。

AIオーケストレーションとは?一言でいうと「AIの段取り役」

IBM の解説では、AIオーケストレーションを「人工知能(AI)モデル、システム、統合の調整と管理を行います」と説明し、仕組みを3つの柱に分けています。

  • AI統合:AIツール、データベース、その他のシステムをつなぎます。
  • AI自動化:AIが関わる処理や判断を、人の手を介さずに進めます。
  • AI管理:全体の動きを監視し、データの扱い、セキュリティ、コンプライアンスを保ちます。

IBM は信号機のたとえも使っています。1つひとつの信号機は自動で切り替わりますが、街全体の流れまでは見ていません。信号同士のタイミングを合わせて交通全体を滑らかにするのがオーケストレーションの役割、という説明です。個々のAIが賢くても、つなぎ方と順番を誰も管理していなければ、業務全体はうまく流れません。

たとえば「問い合わせメールに返信する」業務なら、次のように分けられます。

  1. 問い合わせを読み、種類(注文・返品・技術的な質問など)を判定する
  2. 種類に応じて、社内マニュアルや注文データを調べる
  3. 調べた内容から返信文の案を書く
  4. 返信文に誤りや失礼な表現がないかを確かめる
  5. 担当者が確認して送信する

1〜4をそれぞれ別のAIやツールに任せ、受け渡しの順番、失敗したときのやり直し、人が確認する場所(5)まで含めて設計し、動かし続けることがAIオーケストレーションです。2の「社内の資料を調べて答えに使う」部分には、RAG(検索拡張生成)の仕組みがよく使われます。

IT用語の「コンテナオーケストレーション」とは別物

「オーケストレーション」はIT分野で以前から使われてきた言葉です。特に有名なのは、サーバー上のアプリケーションの配置や台数を自動で管理する「コンテナオーケストレーション」で、代表的なソフトウェアの Kubernetes は「コンテナ化されたワークロードやサービスを管理するための、ポータブルで拡張性のあるオープンソースのプラットフォーム」と説明されています。

どちらも「複数の部品をまとめて管理する」点は共通していますが、コンテナオーケストレーションが管理するのはシステムの稼働環境で、AIオーケストレーションが管理するのはAIに任せる仕事の流れです。

AIエージェント・AIワークフロー・RPAとの違い

AIオーケストレーションは、AIエージェントやAIワークフローと並ぶ別の技術ではなく、それらを組み合わせて管理する側の考え方です。混同されやすい言葉と比べると、次のようになります。

言葉何を指すか進め方を決めるのは例
生成AI(単体のチャット)指示に答えて文章や画像を作るAI人(毎回指示する)ChatGPT や Claude に要約を頼む
AIエージェント目標に向けて手順を考え、ツールを使って実行する1体のAIAI自身調べものからスライド作成までを任せる
AIワークフロー決めた手順どおりにAIの処理をつないだ流れ人(事前に設計する)問い合わせを分類し、回答案を作る
RPA画面操作やデータ転記を決めたルールどおりに繰り返すソフト人(ルールを書く)システムAからBへ毎日データを転記する
AIオーケストレーション上のような複数のAI・ツール・データを1つの業務としてつなぎ、順番・分担・受け渡し・監視を管理する仕組み設計した人、または指揮役のAI調査役・執筆役・確認役のAIを組み合わせてレポートを仕上げる

AIエージェントとの違いは「選手」と「監督」

AIエージェントは、目標を伝えると手順を自分で考えて実行まで進める1体のAIです。定義や製品の例はAIエージェントの意味と代表的な製品で説明しています。

AIオーケストレーションは、そうしたエージェントを何体か、あるいはエージェントとほかのモデル・ツール・データを組み合わせて、全体を管理する仕組みです。IBM も、AIエージェントを「タスクを自律的に計画および実行できる」ものとしたうえで、オーケストレーションはエージェントをほかのモデルやツール、データソースと組み合わせ、より大きなシステム全体を自動化・管理するものだと区別しています。スポーツにたとえると、エージェントは「選手」、オーケストレーションは選手の配置と交代を決める「監督」です。

AIワークフロー・RPAとの違いは「範囲」

AIワークフローは、あらかじめ決めた手順に沿ってAIの処理を流す仕組みで、AIオーケストレーションの組み方の1つでもあります。AIワークフローが「1本の処理の流れ」を指すことが多いのに対し、AIオーケストレーションは複数の流れやエージェントを束ね、受け渡しのルール、失敗時のやり直し、権限、記録まで含めた全体の管理を指します。

RPAは決めたルールどおりの操作の繰り返しが得意で、文面が毎回違うメールの読み取りのような判断は苦手です。AIオーケストレーションでは、RPAも部品の1つとして組み込めます。AIが内容を判定し、その結果をRPAが既存システムへ転記する、という分担です。AIワークフローとRPAの違いそのものは、AIワークフローとエージェント・RPAの違いで比べています。

なお、役割の違う複数のエージェントが分担する「マルチエージェント」は、AIオーケストレーションの代表的な形の1つです。「aiエージェントオーケストレーション」「マルチエージェントオーケストレーション」は、複数のエージェントを束ねる場合を指す呼び方です。

AIオーケストレーションの代表的な形

組み方は大きく2つに分かれます。Anthropic はエージェント構築の解説記事で、手順をあらかじめコードで決めておく仕組みを「ワークフロー」、AI自身が進め方とツールの使い方を決める仕組みを「エージェント」と呼び分けています。

指揮役のAIがサブエージェントに振り分ける形

指揮役(オーケストレーター)のAIが仕事を分解し、専門の役割を持つAI(サブエージェント、ワーカー)に割り振って、返ってきた結果をまとめる形です。Anthropic はこれを「オーケストレーター・ワーカー」と呼び、どんな小さな仕事に分けるかが事前に決まっておらず、入力に応じて指揮役が決める点が特徴だと説明しています。

調べる範囲が毎回違う調査や、見てみないと何を直すべきか分からない作業に向いています。柔軟な反面、動きを事前に読み切れないため、結果を確かめる仕組みが欠かせません。

決まった手順でつなぐワークフロー型

「分類 → 調べる → 下書き → 確認」のように、順番と分岐を人があらかじめ決め、各段階をAIやツールに担当させる形です。OpenAI の Agents SDK のマルチエージェントの解説でも、コードで流れを決める方法は、速度・コスト・性能の面で処理を予測しやすくすると説明されています。手順が固まっている業務から始めるなら、こちらが向いています。

実際には、全体をワークフロー型で組み、その中の一部の段階だけを指揮役のAIに任せる組み合わせもよく使われます。

Microsoft が整理した5つのパターン

もう少し細かく見ると、Microsoft のAI エージェント オーケストレーション パターンでは、複数のエージェントの組み方を次の5つに整理しています。

パターン動き方向いている仕事気を付ける点
シーケンシャル(順番)決めた順につなぎ、前の出力を次のエージェントへ受け渡し下書き → レビュー → 仕上げのように段階を踏む作業前の段階の誤りの伝わり
コンカレント(並列)同じ課題を複数のエージェントで同時に処理し、結果を集約複数の観点からの分析、急ぎの調査結果が食い違ったときの決め方
グループチャット複数のエージェントが1つの会話で議論。管理役が発言順を制御アイデア出し、作成役と確認役の往復議論の堂々巡り。エージェントは3つ以下が目安
ハンドオフ(引き継ぎ)担当のエージェントが、より適任のエージェントへ仕事を丸ごと引き継ぎ途中で必要な専門が分かる問い合わせ対応引き継ぎの堂々巡り、行き先の読みにくさ
マゼンティック管理役が作業リストを作り、進み具合に応じて計画を組み替えて割り振り解き方が決まっていない複雑な課題所要時間の長さ、目標があいまいなときの停滞

同じページは、パターンを選ぶ前に「本当に複数のエージェントが必要か」を確かめるよう勧めています。分類や要約のように1回のAI呼び出しで済む仕事にエージェントは要らず、多くの場合はツールを持たせた1体のエージェントが既定の選択肢になる、という整理です。複数のエージェントは、調整の手間・待ち時間・コストが増えることを承知のうえで、1体では確実にこなせない場合に使います。

実例:どのツールでAIオーケストレーションができるか

「aiオーケストレーションツール」と呼ばれる製品は、使う人によって選び方が変わります。公式ドキュメントで仕組みを確かめられた代表例を紹介します。

Claude Code のサブエージェントとエージェントチーム

Anthropic の開発向けAIエージェント Claude Code には、オーケストレーションの仕組みが組み込まれています。

サブエージェントの公式ドキュメントによると、サブエージェントは特定の種類のタスクを担当するAIアシスタントで、それぞれ独自のコンテキストウィンドウ(作業用の記憶領域)、専用の指示、使えるツールの制限、独立した権限を持って動きます。メインの Claude は、説明に合うタスクに出会うとサブエージェントに任せ、サブエージェントは作業を終えると要約だけを返します。調べものの途中経過でメインの会話が埋まらないのが利点です。

最初から用意されたサブエージェントとして、コードを変更せずに調べる「Explore」などがあります。自分で作る場合は、.claude/agents/(そのプロジェクト用)または ~/.claude/agents/(すべてのプロジェクト用)に定義ファイルを置きます。サブエージェントごとにモデルを指定できるので、単純な作業は Haiku のような高速で安価なモデルに回せます。作り方と使う場面はClaudeサブエージェントの作り方で説明しています。

さらに大きな仕事向けに「エージェントチーム」もあります。1つのセッションがチームリーダーとして作業を割り振り、複数のチームメンバー(それぞれ独立した Claude Code)が共有のタスクリストとメッセージで連携します。サブエージェントが結果をメインに報告するだけなのに対し、チームメンバーは互いに直接やり取りできます。2026年10月時点では実験的な機能で、初期設定では無効です。トークン使用量が単一セッションより大幅に増えるため、公式ドキュメントは3〜5人のチームメンバーから始めるよう勧めています。

OpenAI Agents SDK の handoffs

OpenAI の Agents SDK は、エージェントを組み込んだアプリケーションを作るための開発者向けライブラリです。handoffs の公式ドキュメントでは、handoffs を「あるエージェントが別のエージェントにタスクを委任する」仕組みと説明し、注文状況・返金・よくある質問をそれぞれ専門のエージェントが受け持つカスタマーサポートを例に挙げています。引き継ぎ先はAIからは「ツール」の1つとして見え、返金担当なら transfer_to_refund_agent という名前になります。

同じ SDK のマルチエージェントの解説では、組み方を2つに分けています。handoffs のように窓口のエージェントが専門のエージェントに会話そのものを渡す方法と、管理役のエージェントが主導権を持ったまま専門のエージェントを道具のように呼び出す「agents as tools」です。最終的な回答を1か所でまとめたい場合は後者が向いています。Claude で同じように自社のシステムへエージェントを組み込む場合は、Claude Agent SDKが選択肢になります。

Dify・n8n のワークフロー

プログラミングをせずに画面上で組みたい場合は、Dify や n8n のようなツールが使われます。どちらも、処理の部品(ノード)を画面上でつないで流れを作る方式です。

Dify では、ナレッジベースを検索するナレッジ検索のノードの結果を、後ろのLLM(大規模言語モデル)のノードに渡して回答を作らせる、といった組み方ができます。流れの途中にはAgent ノードも置けます。AIにツールの使い方を任せる部品で、考え方の方式として Function Calling と ReAct を選べ、無限ループを防ぐために最大反復回数を設定します。決まった流れの中に、AIに判断を任せる部分を1か所だけ入れる組み方を画面上で作れます。

n8n は、さまざまなアプリやサービスをつなぐ自動化ツールです。AI Agent ノードの公式ドキュメントによると、チャットモデルと1つ以上のツールを接続すると、エージェントがどのツールを呼ぶかを自分で決めます。ツールのサブノードは最低1つ接続する必要があります。

Microsoft Copilot Studio のマルチエージェント

Microsoft 365 を使っている会社なら、Copilot Studio でエージェント同士をつなげられます。他のエージェントを追加する方法の公式ドキュメントでは、次の3つの方法が案内されています。

  • 子エージェント:既存のエージェントの中に作る軽量なエージェントです。チケットの作成や状態の確認など、1つの用途を受け持たせます。
  • ほかの Copilot Studio エージェントへの接続:同じ環境にある、別に管理されたエージェントを呼び出せます。
  • 外部エージェントへの接続:A2A プロトコルで使えるエージェントや、Microsoft Foundry、Microsoft Fabric、Microsoft 365 Agents SDK で作ったエージェントにつなげます。Foundry・Fabric・Agents SDK への接続は、2026年10月時点でパブリック プレビューです。

同じページは「マルチエージェント オーケストレーションは強力ですが、必ずしも必要であるとは限りません」と注意しています。目安として、メインのエージェントが選ぶ候補(ツール・トピック・ほかのエージェント)が30〜40を超えると判断の精度が落ちることがあり、そのときは複数のエージェントへの分割を検討します。一方で、分けると呼び出しの段階が増えて待ち時間が長くなり、テストや管理の手間も増えます。

業務での使い道

AIオーケストレーションが力を発揮するのは、1つの業務の中に性格の違う作業がいくつも含まれている場合です。

  • カスタマーサポート:窓口のAIが問い合わせを分類し、注文・返品・技術的な質問の担当に引き継ぎます(ハンドオフ型)。AIで解決できない相談は、要約を付けて人の担当者に回します。
  • 調査・レポート作成:競合各社の動向を複数のAIが会社ごとに同時に調べ、まとめ役のAIが1本のレポートに統合します(並列型)。Anthropic は、Claude のリサーチ機能がこの形で、指揮役のエージェントが並行して動くサブエージェントに調査を割り振っていると公開しています。
  • 文書作成と確認:作成役のAIが下書きを書き、確認役のAIが表記ルールや事実関係を点検して差し戻します。差し戻しの回数に上限を決め、それでも通らなければ人に回します。
  • バックオフィス:請求書や申請書をAIが読み取って規定と照合し、問題がないものだけをRPAや既存システムへ転記します(ワークフロー型)。金額の確定や承認は人が行います。

どの業務からAIに任せるかの選び方は、業務選びから始める生成AIの使い方でも段階を追って説明しています。

小さく始める5つの手順

AIオーケストレーションは、最初から大がかりな仕組みを作るほど失敗しやすくなります。Anthropic も Microsoft も、まず最も単純な方法を試し、必要なときだけ複雑にするよう勧めています。

  1. 業務を1つ選び、作業を書き出す:毎週発生し、失敗しても取り返しがつく業務を選び、「誰が・何を受け取り・何をして・誰に渡すか」を箇条書きにします。これがそのまま役割分担の設計図になります。
  2. 1回のAI呼び出し、または1体のエージェントで足りるか試す:ChatGPT や Claude などに、手順を書いた指示を1つ渡して試します。十分な品質が出るなら、複数のAIに分ける必要はありません。
  3. 足りない部分だけ役割を分ける:「調べる部分の精度が低い」「確認が甘い」など、うまくいかない部分だけを別の役割に切り出します。役割は2〜3個から始めます。手順が決まっているならワークフロー型(Dify・n8n・Copilot Studio など)、毎回違うなら指揮役のAIに振り分けを任せる形を選びます。
  4. 受け渡しの形と、人が確認する場所を決める:前の役割が次に何を渡すか(例:「分類結果」「参照した資料のURL」「返信案」)を決めます。送信・削除・支払いのような取り消せない操作の前には、必ず人の承認を入れます。
  5. 記録を取りながら数週間回し、広げる:作業時間、AIの利用料、人が直した回数を記録します。効果を確かめてから隣の業務や別の部署に広げ、そのたびに権限と確認の場所を見直します。

導入時の注意点

AIを組み合わせるほど、1体のAIを使うときにはなかった問題が出てきます。

コストと時間が増える

役割を分けるほど、AIを呼び出す回数が増えます。Anthropic はマルチエージェントの調査システムに関する記事で、エージェントはチャットのおよそ4倍、マルチエージェントの構成はおよそ15倍のトークン(AIの利用量の単位)を使うと公開しています。この構成は社内の調査の評価で単一エージェントを90.2%上回った一方、全員が同じ情報を共有しながら進める仕事や、並行して進められる部分が少ない多くのコーディング作業には、現時点では向かないとも書かれています。Claude Code のサブエージェントも、メインの会話と同じ使用制限にカウントされます。成果に見合う仕事にだけ使い、単純な役割には安価なモデルを割り当てるのが基本です。

誤りが後ろへ連鎖する

順番につなぐ形では、前の段階の誤りが、そのまま次の段階の前提になります。Microsoft のパターン解説も、各エージェントの出力を次に渡す前に確かめ、信頼度の低い応答や形式の崩れた応答は、再試行・確認・停止のいずれかで止めるよう勧めています。途中の結果を記録しておくと、どこで誤ったかを後から追えます。

権限を広げすぎない

エージェントが増えると、そのぶん操作できる範囲も増えます。役割ごとに、必要なデータとツールだけを渡す「最小権限」を守ってください。調べる役には読み取りだけを許し、書き込みは確認役を通った後の1か所に絞る、といった分け方です。

人が確認する場所を残す

AIどうしで仕事を回していると、誰も中身を見ないまま結果が外に出てしまうことがあります。金額の確定、顧客への送信、契約に関わる判断などは、人が確認してから進める設計にします。作成役と確認役の往復には回数の上限を設け、上限に達したら人に回すルールも決めておきます。

よくある質問

オーケストレーター(指揮役)とは何ですか?

複数のAIに仕事を割り振り、結果を集めてまとめる役割のことです。AIが担う場合(指揮役のエージェント)と、あらかじめ書いた手順やプログラムが担う場合(ワークフロー)があります。Claude Code では、メインの会話の Claude がサブエージェントに仕事を任せるときにこの役を務めています。

中小企業や非エンジニアでも導入できますか?

できます。プログラミングをしない場合は、Dify や n8n のように画面上で部品をつなぐツールや、Microsoft 365 を使っている会社なら Copilot Studio から始めるのが現実的です。最初は「分類 → 回答案 → 人が確認」の3段階程度にとどめ、効果を確かめてから広げます。社内のシステムと深く連携させる場合は、開発者向けの SDK を使うか、外部の開発会社に相談することになります。

AIオーケストレーションとMCPの違いは何ですか?

MCP(Model Context Protocol)は、AIが外部のツールやデータにつながるための共通の規格です。Microsoft のパターン解説でも、エージェントがツールを見つけて呼び出す方法を標準化するものと位置づけられています。AIオーケストレーションは、そうしてつないだツールやエージェントを、どの順番で、どの担当で動かすかを管理する仕組みです。MCPは「つなぎ方」、オーケストレーションは「動かし方」と考えると区別しやすくなります。MCPの設定と権限の考え方はClaude MCPの始め方と権限管理で説明しています。

エージェントの数は多いほうがよいですか?

多いほど良いわけではありません。数が増えるほど、調整の手間、待ち時間、コストが増えます。Microsoft は、意味のある専門性を持たないエージェントを足すことをよくある失敗として挙げ、グループチャットでは3つ以下を目安にしています。Claude Code のエージェントチームも、3〜5人から始めるよう案内しています。足りない部分が見えてから、1つずつ増やすのが確実です。

まとめ

AIオーケストレーションとは、複数のAI(モデル・エージェント)とツール・データを1つの業務の流れとしてつなぎ、順番・役割分担・受け渡し・監視を管理する仕組みです。1体で仕事を進めるAIエージェントが「選手」なら、オーケストレーションは配置と交代を決める「監督」にあたり、AIワークフローやRPAも部品として組み込めます。

組み方には、指揮役のAIが振り分ける形と、決まった手順でつなぐワークフロー型があり、Microsoft は順番・並列・グループチャット・引き継ぎ・マゼンティックの5つのパターンに整理しています。Claude Code のサブエージェント、OpenAI Agents SDK の handoffs、Dify・n8n のワークフロー、Copilot Studio のマルチエージェントなど、試せる仕組みもそろっています。

始めるときは、まず1回のAI呼び出しや1体のエージェントで足りるかを確かめ、足りない部分だけを2〜3の役割に分けてください。受け渡しの形と人が確認する場所を決め、コストと修正の手間を記録しながら広げていくのが、失敗を避ける近道です。

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