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AIモードとは?使い方から仕組み、SEOへの影響まで解説
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株式会社Global Design Factory 代表取締役
高橋 遼
北海道大学工学部でAIによる自然言語処理を研究。P&Gにてビッグデータ解析・消費者分析を担当した後、伊良コーラのマーケティング責任者を経て、現在は株式会社Global Design Factory代表取締役として、中小企業を中心にAIを活用した業務効率化・自動化を支援。

「AIモード」という言葉を目にする機会が増えたものの、AI OverviewsやGeminiとの違いが分からず、なんとなく理解した気になっていないでしょうか。本記事では、AIモードの基本的な仕組みから、日本での提供状況、PC・スマホでの使い方、表示されないときの対処法までを整理します。さらにGoogle I/O 2025で発表されたDeep Searchなどの次世代機能や、ゼロクリック検索の実態データ、Web担当者が今すぐ着手すべきSEO・LLMO対策まで網羅的に解説します。読み終える頃には、AIモードを正しく理解し、自社サイトの対策の第一歩を踏み出せる状態になっているはずです。
AIモードとは?Google検索に搭載された新しいAI検索機能
「AIモード」という言葉を検索結果や周囲の会話で見かける機会が増えたものの、「結局どんな機能なのか」を正確に説明できる方はまだ多くないのではないでしょうか。ここではまず、AIモードの基本的な定義・仕組み・日本での提供状況を整理し、以降の記事全体の土台となる知識を確認していきます。
AIモードの概要としくみ
AIモードとは、ユーザーの検索クエリの意図を汲み取り、複数のサイトから情報をまとめて一つの答えとして提示する、Google検索に搭載された新しいAI検索機能です。従来のように検索結果として並んだリンクを一つずつクリックして情報を探す必要がなく、複雑な質問や比較検討が必要な調べものでも、AIがまとめた回答をその場で確認できる点が最大の特徴です。
利用の仕方もシンプルで、特別なアプリのインストールや事前設定は不要です。普段使っているGoogleアカウントがあれば、誰でもすぐに利用を始められます。
ここで押さえておきたいのが、AIモードは常に表示されるわけではないという点です。AIモードは検索結果ページ上部に用意されたタブをユーザー自身が選択したときにだけ表示される仕組みになっており、通常の検索結果画面に直接割り込んでくるものではありません。つまり、「今まで通りの検索」と「AIによる対話型の検索」を、ユーザーが自分の目的に応じて使い分けられる設計になっているということです。この「タブを選んで能動的に使う」という性質は、後述するAI Overviews(検索結果に自動表示される要約機能)との大きな違いにもつながる部分ですので、まずはここで押さえておいてください。
日本でのリリース時期と提供状況
AIモードの展開は、まず米国から始まりました。Googleは2025年初めにLabs(実験的機能を試せる場)で英語版AI Modeの試験導入を開始し、その後2025年5月20日より順次米国での一般提供を開始しています。同年5月21日には、Labsに未登録のユーザーに対しても米国での展開を発表しており、検索結果画面やGoogleアプリの検索バーからAIモードにアクセスできる状態が整えられました。
そして日本語版のAIモードについては、2025年9月9日から提供が開始されています。米国での一般提供開始が2025年5月20日だったことを踏まえると、日本への導入は4か月弱という短い期間で実現したことになり、Googleがこの新機能をグローバルに急速展開している様子がうかがえます。
2025年9月現在の私たちにとって重要なのは、AIモードはすでに「一部の実験的機能」ではなく、日本語環境でも正式に使える機能として定着しつつあるという点です。次のH3で解説する使い方さえ知っておけば、誰でもすぐに試せる状態にあります。
クエリファンアウトという新技術の仕組み
AIモードが従来の検索やAI Overviewsと一線を画すのは、その裏側で動いている「クエリファンアウト」という技術によるところが大きいといえます。
クエリファンアウトとは、ユーザーが入力した一つの質問を複数のサブトピックに分解し、それぞれのサブクエリに対して同時に検索を実行する仕組みです。たとえば「〇〇と△△を比較して、初心者にはどちらがおすすめか」といった複合的な質問をした場合、AIモードは内部でこの質問を「〇〇の特徴」「△△の特徴」「初心者向けの選び方」といった複数の検索クエリに分解し、それぞれについて同時並行でウェブを調査します。そのうえで、集めた情報を統合して一つの回答としてまとめ上げているのです。
この仕組みにより、AIモードは単一のキーワードで検索して得られる情報よりも、格段に深くウェブを探索できるようになっています。一問一答で終わらず、複数の観点を横断した回答を一度に得られるのは、このクエリファンアウトという技術基盤があるからこそだといえるでしょう。
なお、このクエリファンアウトはあくまで現時点での基本的な仕組みであり、Googleは2025年のI/Oでこれをさらに発展させた「Deep Search」という機能も発表しています。数百もの検索を横断して専門家レベルのレポートを作成するというこの機能については、記事後半で詳しく取り上げます。
AIモードとAI Overviews・Geminiとの違い
「AIモード」と混同されやすいGoogleのAI関連サービスに、「AI Overviews(旧SGE)」と「Gemini」があります。名前が似ているうえに、いずれもGoogleのAI技術をベースにしているため、違いが分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。ここでは、それぞれの機能をどう使い分ければよいのかを整理していきます。
AIモードとAI Overviews(旧SGE)の違い
AIモードとAI Overviewsの最大の違いは、表示されるタイミングと関わり方にあります。
AI Overviewsは、通常のキーワード検索を実行した際に、検索結果の最上部にAIによる要約文が自動的に表示される機能です。ユーザーが特別な操作をしなくても目に入る仕様になっており、検索意図に対する回答をすばやく把握したいときに役立ちます。
一方でAIモードは、検索結果ページ上部にあるタブをユーザー自身が選択したときにのみ表示される機能です。つまり、能動的に切り替えない限り目にすることはありません。切り替えた後はチャット形式の画面になり、最初の質問に対する回答を読んだうえで、さらに追加の質問を重ねながら情報を深掘りできる点が大きな特徴です。
両者の違いを整理すると、次のようになります。
- AI Overviews:検索結果に自動表示される要約。トピックの概要をすばやくつかみたいときに向いている
- AIモード:タブを選択して切り替える専用画面。チャット形式で対話しながら、一つのテーマをじっくり深掘りしたいときに向いている
また、AIモードの回答には参照元となるWebサイトのURLが明記されるため、気になった情報の一次情報を確認しやすいという特徴もあります。「概要だけ知りたいのか」「対話しながら深く調べたいのか」という目的の違いによって、どちらを使うべきかが自然と決まってくるといえるでしょう。
なお、両者は完全に別物というわけではなく、Googleは今後、最新のAIモデルをまずAIモードに導入し、その後AI Overviewsにも展開していく方針を示しています。今はAIモードのほうが一歩先を行く実験的な位置づけにある、と捉えておくと理解しやすいかもしれません。
AIモードとGeminiの違い
AIモードとGeminiは、どちらもGoogleのAI技術を活用したチャット形式のサービスですが、検索特化型か、汎用アシスタント型かという根本的な役割の違いがあります。
Geminiは、Googleの検索機能から独立したAIチャットサービスです。文章の作成やコードの生成、アイデア出しといった創作・タスク処理に特化しており、やり取りした会話履歴がスレッドとして保存されるため、過去のやり取りを振り返りながら継続的にプロジェクトを進めるような使い方に向いています。
これに対してAIモードは、あくまでもGoogle検索の一機能という位置づけです。ユーザーの質問に答えるために、Web上の複数のサイトを横断的に調査し、その情報をまとめて提示することに特化しています。つまり、Geminiが「何かを一緒に作り上げるパートナー」だとすれば、AIモードは「調べものを高度に効率化してくれる検索エンジンの延長線上にある機能」と表現できるでしょう。
使い分けの目安をまとめると、次のようになります。
- 調べたいこと・知りたい情報がある場合:AIモード(複数サイトの情報を横断的に収集・整理してくれる)
- 文章作成やアイデア出し、継続的なタスクを進めたい場合:Gemini(会話履歴を保存しながら創作・作業をサポートしてくれる)
ただし、この境界線は今後も固定的なものではありません。Googleの最新モデルはまずAIモードに投入される方針が示されているため、AIモードの調査能力そのものが今後さらに強化されていく可能性があります。この点については、次のセクションで詳しく紹介する最新機能の内容もあわせて確認しておくとよいでしょう。
AIモードの使い方【PC・スマホ別】
AIモードの仕組みが分かったところで、実際にどう操作すれば使えるのか、具体的な手順を見ていきましょう。特別なアプリのインストールや事前設定は不要で、Googleアカウントさえあればすぐに利用できます。ここではPCとスマートフォンに分けて、起動方法を分かりやすく紹介します。
PCでのAIモードの始め方
PCでAIモードを利用する方法は、主に次の3通りがあります。
- Googleトップページから始める方法:Google検索のトップページを開き、検索窓の横に表示されている「AIモード」をクリックします。
- 検索結果ページから切り替える方法:普段通りにキーワードを入力して検索を実行し、検索結果ページの上部に並ぶタブの中から「AIモード」をクリックします。
- 直接アクセスする方法:ブラウザで「google.com/ai」に直接アクセスすることでも起動できます。
いずれの方法も難しい操作は必要なく、普段の検索の延長線上でワンクリックで切り替えられる手軽さが特徴です。特に「検索結果ページ上部のタブから切り替える」方法は、通常の検索結果を見た上で「もっと深く知りたい」と感じたときにそのまま移行できるため、日常的に使いやすい導線といえます。
なお、AIモードは検索結果画面に自動で表示されるわけではなく、あくまでユーザーがタブを選択したときにのみ表示される点に注意が必要です。従来の検索結果とAIモードの回答は、明確に切り替えて使うイメージを持っておくとよいでしょう。
スマートフォン(iPhone・Android)での使い方
スマートフォンでの利用手順も、基本的な考え方はPCと同じです。iPhone・Androidを問わず、次の3ステップで利用できます。
- Googleアプリまたはブラウザでログインする:GoogleアプリまたはSafari・Chromeなどのブラウザで、自分のGoogleアカウントにログインします。
- 通常通り検索を実行する:知りたいことをいつも通りのキーワードで検索します。
- AIモードタブをタップする:検索結果ページの上部に表示される「AIモード」タブをタップすると、AIモードの回答画面に切り替わります。
PCと同様に、専用アプリを別途インストールする必要はありません。普段使っているGoogleアプリやブラウザの検索機能の中に、AIモードという新しい選択肢が追加されたとイメージすると分かりやすいでしょう。移動中や外出先でも、スマートフォンひとつで手軽にAIモードによる深掘り検索を試せます。
回答の精度を上げる質問・追加質問のコツ
AIモードの真価は、一度の検索で終わらせず、チャット形式で対話を重ねながら情報を深掘りできる点にあります。回答が表示された下部には入力欄が用意されており、そこに追加の指示を書き加えることで、より自分の目的に合った情報へとブラッシュアップできます。
具体的には、次のような追加指示が有効です。
- 「表形式で比較して」と指示し、複数の選択肢を一覧で比べたいとき
- 「初心者向けに詳しく」と指示し、専門用語をかみ砕いて説明してほしいとき
- 「〇〇の観点だけに絞って」と指示し、情報を特定の切り口で整理したいとき
このように条件を重ねていくことで、複数のWebサイトを自分で開いて情報を突き合わせる手間をかけずに、情報の精査や分析までAIモードの中で完結させることができます。最初の質問はやや大まかでも構いません。まず検索してみて、出てきた回答を土台に「もっとこう知りたい」という要望を追加質問として重ねていくのが、AIモードを使いこなすコツといえるでしょう。
AIモードが使えない・表示されないときの原因と対処法
前章の手順通りに操作しても、検索結果ページに「AIモード」のタブが表示されなかったり、タップしても反応がなかったりするケースがあります。原因は大きく分けて「アカウントの制限によるもの」と「アプリ・ブラウザなどの環境によるもの」の2つに整理できます。それぞれ順番に確認していきましょう。
アカウントの制限が原因のケース
まず疑うべきなのが、利用しているGoogleアカウントそのものに制限がかかっていないかという点です。
- 18歳未満のアカウントは利用不可 AIモードは、18歳未満のユーザーのアカウントには利用制限がかかっており、そもそも機能自体を使うことができません。お子様のアカウントや、家族で管理しているアカウントでAIモードが表示されない場合は、まずアカウントの生年月日設定や年齢区分を確認してみてください。
この年齢制限はGoogle検索ヘルプでも案内されている仕様であり、設定を変更すれば必ず使えるようになるというものではありません。年齢確認の結果、対象外と判定された場合は、成人が管理する別のGoogleアカウントで試すなどの対応が現実的です。
なお、法人向けのアカウントや職場・学校で管理されているアカウントについては、組織側の管理設定によって利用可否が変わる可能性も考えられます。会社や学校のGoogleアカウントでAIモードが表示されない場合は、個人のGoogleアカウントでログインし直して、同じ現象が起きるかどうかを切り分けてみると原因の特定がしやすくなります。
アプリ・ブラウザ環境が原因のケース
アカウント側に問題がない場合、次に疑うべきは利用している環境、つまりGoogleアプリやブラウザの状態です。AIモードは比較的新しい機能であるため、古いバージョンのアプリやブラウザでは対応しておらず、タブ自体が表示されないことがあります。
具体的には、以下の手順で順番に確認・対処していくのがおすすめです。
- Googleアプリ・ブラウザを最新版に更新する iPhoneならApp Store、AndroidならGoogle Playストアから、Googleアプリやお使いのブラウザ(Chromeなど)が最新バージョンになっているかを確認し、更新プログラムがあれば適用します。
- キャッシュをクリアする アプリやブラウザに蓄積されたキャッシュが原因で、新機能が正しく反映されないことがあります。設定画面からキャッシュを削除し、アプリを再起動してみてください。
- ログアウト・再ログインを試す Googleアカウントに一度ログアウトし、再度ログインし直すことで、アカウント情報が正しく再読み込みされ、AIモードが表示されるようになるケースがあります。
- 別のブラウザ・別の端末で試す 上記の対処を行っても改善しない場合は、PCとスマートフォンなど別の端末で試したり、普段使っていない別のブラウザでアクセスしてみたりすることで、原因が特定の環境に限定されたものかどうかを切り分けることができます。
これらを一通り試しても解決しない場合は、地域や提供状況によってはまだ自分の環境に機能が展開されていない可能性も考えられます。焦らずアプリのアップデートを待ちつつ、定期的に確認してみるとよいでしょう。
Google I/O 2025で発表されたAIモードの最新機能
現在提供されているAIモードは、クエリファンアウトによって複数のサブクエリを同時検索し、一つの回答にまとめる機能が中心です。しかし、Googleが開発者向けイベント「Google I/O 2025」で発表した内容を見ると、AIモードは単なる「検索の要約ツール」にとどまらず、今後さらに大きく進化していくことが見えてきます。ここでは、Google公式ブログで明らかにされた3つの次世代機能を紹介します。いずれも現時点では日本国内での提供状況が限定的なものも含まれますが、AIモードが今後どこへ向かうのかを知るうえで欠かせないトピックです。
Deep Search:数百の検索を横断する高度な調査機能
「Deep Search」は、AIモードに導入される高度な調査機能です。すでにAIモードの基盤となっているクエリファンアウト技術をベースにしながら、さらに高いレベルで数百もの検索を同時に実行する点が特徴です。
通常のAIモードが一つの質問に対して複数のサブクエリを展開して回答をまとめるのに対し、Deep Searchはそのスケールを大幅に引き上げ、多様な情報源を横断的に分析します。そのうえで、専門家レベルの引用元を網羅したレポートを、わずか数分で作成できるとされています。
これまで人間が何時間もかけて複数のサイトを調べ、情報を突き合わせて整理していたような調査業務が、AIモードの機能として自動化される方向性を示すものといえます。特に、専門性の高いテーマや、複数の観点からの比較検討が必要なリサーチ用途において、Deep Searchは強力な選択肢になっていく可能性があります。
Project Astraによるリアルタイムのライブ検索
2つ目の注目機能が、Googleの研究プロジェクト「Project Astra」の技術をGoogle検索に導入した「Search ライブ」です。
この機能では、スマートフォンなどのカメラを使って目の前にあるものを映しながら、AIとリアルタイムで会話をするように検索できます。たとえば、目の前にある物体や風景についてカメラ越しに質問を投げかけると、AIモードがその映像を理解したうえで会話形式で回答を返す、という使い方がイメージされています。
従来の検索は「テキストを入力して結果を待つ」という一方向のやり取りが基本でした。しかしSearch ライブでは、視覚情報とリアルタイムの対話を組み合わせることで、検索という行為そのものが「調べる」から「会話しながら理解を深める」という体験へと変わっていく可能性を示しています。
Project Marinerによるエージェント機能
3つ目が、AIエージェント技術「Project Mariner」をAIモードに組み込んだエージェント機能です。この機能は、単に情報を検索してまとめるだけでなく、ユーザーに代わって実際の作業まで代行することを目指した点が大きな特徴です。
Google公式ブログで示された例としては、「今週土曜日の野球の試合で低層階の手頃な価格のチケットを2枚見つけて」といった依頼に対し、AIモードが複数のチケット販売サイトを横断的に調査し、条件に合う候補を探し出したうえで、フォーム入力などの作業まで代行するというものです。
対応領域としては、まずイベントのチケット、レストラン予約、地域の店舗・サービスの予約から開始するとされており、Ticketmaster、StubHub、Resy、Vagaroといったサービスとの協力のもとで実現が進められています。
さらにGoogleは、同社の最も知的なモデルと位置づけるGemini 2.5のカスタムバージョンを、米国のAIモードとAI Overviewsの両方に導入する方針も示しています。ここで重要なのは、Geminiの最新機能はまずAIモードに導入されるとされている点です。つまりAIモードは、単発の検索機能というより、Googleの最新AI技術がいち早く投入される「実験と実装の最前線」として位置づけられていると捉えることができます。
こうした一連の発表からは、AIモードが今後「調べる」だけでなく「理解する」「代わりに動く」機能へと拡張していく方向性がうかがえます。次章では、こうした変化がWebサイトやSEOにどのような影響を及ぼしつつあるのかを、実態データとともに見ていきます。
AIモードがWebサイト・SEOに与える影響
AIモードの登場によって、Web担当者やSEO担当者が最も気になるのは「自社サイトへのアクセスがどう変化するのか」という点だと思います。ここでは具体的な対策に入る前に、まず現時点でどのような変化が起きているのかを、公開されている調査データをもとに客観的に整理していきます。
ゼロクリック検索の増加とその実態データ
AIモードがサイト運営に与える最大のインパクトは、「ゼロクリック検索」の増加です。ゼロクリック検索とは、検索結果やAIの回答だけでユーザーが疑問を解決してしまい、実際のWebサイトへ遷移しないまま検索行動を終える現象を指します。
米Semrush社が実施した調査「Google AI Mode's Early Adoption and SEO Impact」によると、AIモード利用時のゼロクリック率は92%〜94%に達するとされています。これは、通常のGoogle検索におけるゼロクリック率(約34%)や、すでに広く展開されているAI Overviewsのゼロクリック率(約43%)と比較しても、突出して高い数値です。
この差が生まれる背景には、AIモードの利用体験そのものがあります。AIモードは専用タブに切り替え、チャット形式で対話しながら情報を深掘りしていく設計になっているため、ユーザーは複数のサイトを開いて情報を集めるのではなく、AIモードの画面内で追加質問を重ねながら疑問を解決してしまう傾向があります。回答には参照元のURLが明記されているものの、それでも実際にクリックしてサイトへ訪問する行動には結びつきにくいと考えられます。
一方で、冷静に受け止めておきたいデータもあります。PLAN-B社によると、2025年9月時点でのAIモードの利用率は約1%にとどまっており、現時点では検索行動全体の中で主流の使われ方とはいえません。日本語版の提供開始も2025年9月9日と、まだ日が浅い段階です。
つまり、「ゼロクリック率が9割超」という数字だけを見ると強い危機感を抱きがちですが、実際にAIモードを利用している検索母数自体はまだ限定的であり、現時点で自社サイト全体のトラフィックが急減するような段階には至っていないと考えられます。ただし、今後Googleの検索機能としての位置づけが強まり、利用率が伸びていけば、この影響は徐々に無視できない規模になっていく可能性があります。中長期的な視点で状況を注視していく必要があるといえるでしょう。
影響を受けやすい検索クエリ・受けにくい検索クエリ
ゼロクリック検索の影響は、すべての検索クエリに一様に及ぶわけではありません。クエリの種類によって、AIモードの影響を受けやすいものと受けにくいものがあることを理解しておくと、自社サイトのどのコンテンツが影響を受けやすいかを把握する手がかりになります。
影響を受けやすいクエリ
「〇〇とは」といった、いわゆるknowクエリ(情報収集を目的とした検索)は、AIモードの影響を受けやすいクエリの代表例です。こうした検索は、ユーザーが用語の意味や概念を知りたいだけであることが多く、AIモードが複数サイトの情報を統合して簡潔な答えを提示してしまえば、ユーザーの疑問はその場で解決してしまいます。結果として、解説記事や用語集ページへの訪問が減少する可能性があります。
影響を受けにくいクエリ
一方、特定の企業名やブランド名、サービス名で検索する指名検索は、従来通りの検索結果表示が続く可能性が高いと考えられています。ユーザーがすでに特定のサイトや企業を目的地として検索している場合、AIによる要約では代替できない情報(公式サイトでの手続きや最新情報の確認など)を求めていることが多いためです。
このように、検索意図に応じてAIモードの影響度合いには差があり、今後は「情報収集はAIモードで完結し、具体的な行動や取引は従来通り公式サイトを訪れる」といった棲み分けが進んでいくと考えられます。Web担当者としては、自社が保有するコンテンツのうち、どのクエリ群がknowクエリに該当し、どのクエリ群が指名検索や取引目的の検索に該当するのかを整理しておくことが、今後の影響範囲を見極める第一歩になります。
AIモード時代に企業が取り組むべきSEO・LLMO対策
AIモードによってゼロクリック検索が拡大しつつある現状を踏まえると、Web担当者が取るべきスタンスは「検索結果からのクリックだけを追う」従来型のSEOから、「AIの回答内に自社が引用される」ことを目指すLLMO(大規模言語モデル最適化)的な発想へと軸足を広げることです。とはいえ、これは既存のSEO対策を捨てることを意味しません。むしろ基本の徹底と新しい視点の追加を両輪で進めることが重要です。ここでは、今すぐ着手できる3つのアクションを実行手順として紹介します。
まず自社の露出状況を調査する
対策を考える前に、まずは「自社が今どう見えているか」を客観的に把握する必要があります。具体的な方法として、ブラウザのシークレットモードでAIモードを開き、自社商材に関連する質問を実際に投げかけてみることが推奨されます。
チェックすべきポイントは以下の通りです。
- 自社の商品・サービス名やブランド名が、AIモードの回答文中に登場するかどうか
- 回答の参照元(引用URL)に自社サイトが含まれているかどうか
- 競合他社がどのような文脈・切り口で紹介されているか
- 自社が紹介されていない場合、代わりにどのサイトが情報源として選ばれているか
シークレットモードを使うのは、検索履歴やログイン情報によるパーソナライズの影響を排除し、初めて訪れたユーザーに近い状態で結果を確認するためです。これを自社の主力キーワードや「〇〇とは」といった基礎的な質問を含め、複数パターンで試すことで、自社の露出状況の現在地が見えてきます。この調査は一度きりで終わらせず、AIモードのアップデートに合わせて定期的に繰り返し、変化を追跡する運用にしておくと安心です。
構造化データ・E-E-A-Tなど基本対策の徹底
AIモードやAI Overviewsは、クエリファンアウトの仕組みによって複数のサイトから情報を集め、回答を組み立てています。この「情報源として選ばれる」ためには、AIが情報を正確に読み取れるサイト構造であることが前提条件になります。つまり、これまでのSEOで語られてきた基本対策の重要性は、AIモード時代においてもむしろ高まっていると考えられます。
具体的に見直すべき項目は次の通りです。
- 構造化データの実装:商品情報・FAQ・記事情報などをマークアップし、機械が内容を正確に解釈できる状態にしておくこと
- E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の強化:執筆者情報や運営者情報を明記し、一次情報・実体験に基づくコンテンツであることを示すこと
- サイトの技術的な健全性:クロールされやすいサイト構造、ページ表示速度、モバイル対応など、基本的なテクニカルSEOを維持すること
- 情報の鮮度と正確性の担保:古い情報や誤った情報を放置せず、定期的に見直し・更新を行うこと
これらは特定の統計データで効果が実証されているわけではありませんが、AIが「信頼できる情報源」を選別する際の判断材料になり得る要素として、引き続き徹底しておく価値のある取り組みです。
AIに引用されやすいコンテンツ設計
基本対策を固めたうえで、さらに一歩進んだ視点として意識したいのが「AIに引用されやすい文章の書き方」です。AIモードの回答は、Webページの文章をそのまま抜き出すのではなく、複数のサイトの情報を要約・再構成して生成されます。そのため、AIが「切り出しやすい」形で情報を提示しておくことが有効だと考えられます。
意識したいポイントは以下の通りです。
- 質問に対する結論やポイントを、記事の冒頭や見出し直下で簡潔に提示すること
- 「〇〇とは」といった定義・説明を求めるknowクエリに対しては、一文で要約できる明快な回答を用意すること
- 箇条書きや表など、情報を構造化した形式で整理し、要素を抜き出しやすくすること
- 一般論だけでなく、自社ならではの実体験・データ・事例を盛り込み、他サイトとの差別化を図ること
前段で触れた通り、指名検索のように検索意図が明確なクエリでは従来通りの検索結果表示が続く可能性が高い一方、知識を求めるknowクエリではAIモードの影響を受けやすいと考えられます。自社のコンテンツがどちらの性質に近いかを見極めながら、優先順位をつけて対策を進めていくことが、限られたリソースを有効に使うための現実的なアプローチといえます。
まとめ
AIモードは、クエリファンアウトという技術によって複数の検索を同時に行い、対話形式で情報を深掘りできるGoogle検索の新機能です。自動表示されるAI Overviewsや汎用アシスタントのGeminiとは異なり、タブを選んで能動的に使う点が特徴で、日本語版は2025年9月から提供が始まっています。Google I/O 2025ではDeep Searchやエージェント機能など、検索を超えた進化の方向性も示されました。一方でゼロクリック率は9割超という調査もあり、Web担当者は自社の露出状況を定期的に確認しながら、構造化データやE-E-A-Tといった基本対策と、AIに引用されやすいコンテンツ設計の両輪を進めていくことが求められます。まずは自社の主力キーワードでAIモードを実際に試し、現状を把握するところから始めてみてください。


