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AI小説の作り方完全ガイド|著作権・投稿ルールも解説

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株式会社Global Design Factory 代表取締役 高橋 遼

株式会社Global Design Factory 代表取締役

高橋 遼

北海道大学工学部でAIによる自然言語処理を研究。P&Gにてビッグデータ解析・消費者分析を担当した後、伊良コーラのマーケティング責任者を経て、現在は株式会社Global Design Factory代表取締役として、中小企業を中心にAIを活用した業務効率化・自動化を支援。

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AI小説の作り方完全ガイド|著作権・投稿ルールも解説

「AIを使って小説を書いてみたいけれど、何から始めればいいか分からない」「小説家になろうやカクヨムに投稿しても大丈夫なのか」——そんな疑問を持つ方は増えています。芥川賞作家・九段理江氏の「95%AI執筆」小説が話題になったように、AI小説は特別な創作手法ではなくなりつつあります。本記事では、AI小説の定義や最新事例から、プロット作成〜本文執筆〜推敲までの5ステップ、ChatGPTやAIのべりすとなどツールの選び方、そして2026年最新の著作権・投稿規約の動向までを一気通貫で解説します。読み終える頃には、自分の手でAI小説を書き始める準備が整います。

AI小説とは?注目される理由と最新事例

AI小説の定義とできること

「AI小説」とは、ChatGPTやClaude、Geminiといった生成AI、あるいは小説特化型のAIサービスを使って書かれた小説のことを指します。プロットの構成からキャラクター設定、本文そのものの執筆まで、AIが関与する範囲は作品によってさまざまです。

AIが担う範囲は、大きく次のように分けられます。

  • アイデア出しの補助:プロットの骨組みや展開のアイデアをAIに提案してもらう使い方
  • 共同執筆:作者が方向性を示しながら、AIと本文を一緒に書き進める使い方
  • 本文の大部分をAIが生成:作者がプロンプトで細かく指示を出し、生成された文章をほぼそのまま使う使い方

つまり「AI小説」は一つの手法を指す言葉ではなく、AIへの依存度が異なる複数のスタイルを包含した呼び方だといえます。この依存度の違いは、後述する投稿サイトのタグ制度にも直結するため、まずは「AIがどこまで書いたか」という視点を持っておくことが重要です。

芥川賞作家・九段理江氏「95%AI執筆」が示した衝撃

AI小説が大きな話題を呼んだきっかけの一つが、芥川賞作家・九段理江氏の取り組みです。九段氏は、博報堂発行の雑誌『広告』418号にて、本文の95%をAIが執筆した短編小説『影の雨』を発表しました(MatrixFlow)。約4,000字というコンパクトな短編に対し、実際に入力されたプロンプトは20万字にも及んだと報じられています(MatrixFlow)。

この作品は雑誌掲載後、Web上でも公開され、後日には執筆に使われたプロンプト全文も公開されました(ITmedia NEWS)。プロンプトの分量が本文の50倍近くに達している点は、「AIが自動で小説を書いてくれる」というイメージとは大きく異なり、緻密な指示の積み重ねの上に一つの作品が成立していることを物語っています。

九段氏はもともと、芥川賞受賞作『東京都同情塔』の受賞記念会見で「小説の5%をAIで書いた」と発言していました(ITmedia NEWS)。そこからわずかな期間で「5%」から「95%」へとAI活用の比重を大きく引き上げた点も、注目を集めた理由の一つです。人がどこまで手を動かし、AIにどこまで委ねるのか——その境界線そのものが、作家自身の実験によって問い直された出来事だといえます。

なお、AIと文学の境界が曖昧になっている流れは九段氏に限った話ではありません。星新一賞でもAI小説が最終選考に残った例があり、文学賞という「人間の創作性」を評価する場においても、AIの存在感が増していることがうかがえます(MatrixFlow)。共作したAI「CraiQ」が「人とAIがともに“物語る”時代の、ささやかな序章」とコメントしたと報じられている点も、この変化の空気感を象徴しています(Yahoo!ニュース/ITmedia NEWS配信)。

小説投稿サイトでもAI活用が急速に広がる背景

こうした著名作家の事例だけでなく、一般の書き手が集まる小説投稿サイトでも、AI活用は急速に広がりつつあります。小説家になろうやカクヨムといった主要サイトでは、AIを使って執筆や校正を行う利用者が増え、運営側もルール整備を進めている段階です。

背景には、生成AIの精度向上によって「誰でもある程度まとまった文章を短時間で作れる」ようになったことがあります。プロット作成やキャラクター設定の壁打ち相手としてAIを使う書き手も増えており、執筆のハードルが下がったことが投稿数の増加につながっていると考えられます。

一方で、AIの関与度が高い作品が増えるにつれ、「これは一次創作なのか」「読者にどう開示すべきか」といった疑問も生まれています。この点については、投稿サイト側が具体的な規約やタグ制度で対応を進めており、次のセクション以降で作り方の手順やツールの選び方、そして著作権・投稿ルールの最新動向を順に見ていきます。

AI小説の作り方|プロットから本文までの5ステップ

AI小説と聞くと「ボタン一つで自動的に物語が完成する」というイメージを持たれがちですが、実際には人がAIに的確な指示(プロンプト)を与えながら、対話的に物語を組み立てていく共同作業に近いプロセスです。ここでは、どのAIツールを使う場合にも共通する、プロットから本文完成までの基本ステップをご紹介します。

ステップ1 プロット・あらすじをAIに作らせる

最初のステップは、物語の骨格となるプロット・あらすじづくりです。白紙の状態でAIに「小説を書いて」と依頼すると、当たり障りのない展開になりやすいため、以下のような要素を先に指定するのがポイントです。

  • ジャンル(ファンタジー、恋愛、ミステリーなど)
  • 舞台設定・時代背景
  • 主人公の立場や目的
  • 物語の起承転結、あるいは結末のイメージ

これらの条件を箇条書きでAIに渡し、「3〜5つのプロット案を提示してほしい」と依頼すると、複数の方向性を比較検討できます。一つの案に固執せず、AIが出したプロットを土台にしながら「もっと対立構造を強めてほしい」「中盤に転換点を追加してほしい」といった追加指示を重ねていくことで、物語の芯が徐々に固まっていきます。

ステップ2 キャラクター設定を深掘りする

プロットが決まったら、次に登場人物の設定を深掘りしていきます。名前や年齢といった基本情報だけでなく、以下のような内面的な要素をAIとの対話で肉付けすると、キャラクターに説得力が生まれます。

  • 過去の経験やトラウマ、価値観
  • 口調・言葉選びの癖
  • 他の登場人物との関係性や距離感
  • 物語を通じて変化する心理の軌跡

キャラクター設定は一度作って終わりではなく、本文執筆の途中で「このキャラならこう発言しないのでは」といった違和感が出てきたら、その都度AIに修正案を出してもらいながら調整していく姿勢が大切です。設定シートのようにまとめておくと、後の本文執筆でAIに何度も参照させやすくなります。

ステップ3 本文を書く——AIとの共同執筆テクニック

プロットとキャラクター設定が固まったら、いよいよ本文執筆です。ここで重要なのは、長編を一度にAIへ依頼しようとしないことです。多くの場合、シーン単位・章単位で区切って生成させ、都度読みながら手を入れていく方が、物語のトーンやテンポを保ちやすくなります。

具体的には、次のような進め方が効果的です。

  • 1シーンごとに「誰が」「どこで」「何をするか」を指定して生成させる
  • 生成された文章のうち気に入った表現や展開を残し、違和感のある部分だけ書き直しを依頼する
  • 地の文と会話文のバランス、文体のクセ(一人称・三人称、硬い文体・柔らかい文体など)をあらかじめ指示しておく

なお、芥川賞作家の九段理江氏が発表した短編小説『影の雨』では、約4,000字の作品に対して20万字にも及ぶプロンプトが入力されたと報じられています(MatrixFlow)。この事例が示すように、AIとの共同執筆で質の高い本文を生み出すには、一問一答的なやり取りではなく、細やかな指示と修正のやり取りを積み重ねる粘り強さが求められます。

ステップ4 推敲・校正でクオリティを上げる

本文が一通り完成したら、推敲・校正のフェーズに移ります。AIは誤字脱字のチェックだけでなく、以下のような観点からのフィードバックも得意です。

  • 文章のリズムや冗長な表現の指摘
  • 設定上の矛盾(時系列のズレ、キャラクターの言動の不一致など)のチェック
  • 読者視点での「分かりにくい」「テンポが悪い」といった感想の提示

「この章を編集者の視点で厳しくレビューしてほしい」といった役割設定を加えると、より具体的な改善案が返ってくることが多くなります。ただし、AIの提案をすべて採用する必要はなく、最終的な文章の採否を判断するのは書き手自身であるという意識を持つことが、作品としての一貫性を保つうえで欠かせません。

ステップ5 挿絵・ビジュアルを加えて仕上げる

本文の完成後、必要に応じて挿絵やカバーイメージなどのビジュアルを加える工程も検討してみましょう。キャラクターのイメージや印象的なワンシーンをAIに画像として生成させることで、投稿作品としての完成度を高められます。

このとき、本文で固めたキャラクター設定(外見の特徴、服装、雰囲気など)を画像生成の指示にもそのまま反映させると、文章とビジュアルの整合性が取りやすくなります。どのツールを使って画像を生成するかについては、次の章で目的別に紹介していきます。

AI小説におすすめのツール・サービス比較

AIで小説を書くと決めたら、次に迷うのが「どのツールを使うか」です。プロットの作り方や本文執筆の進め方は前章で紹介した通りですが、実際にどのAIに向き合うかによって、書き心地や仕上がりの雰囲気は変わってきます。ここでは代表的なツールを「汎用チャットAI」と「小説特化型サービス」の2系統に分けて紹介し、目的別の選び方を整理します。なお、各ツールの料金体系や生成精度の細かな比較については裏付けとなる最新情報が確認できなかったため、ここでは機能の傾向や向き不向きといった一般的な観点にとどめてご紹介します。

汎用チャットAI(ChatGPT・Claude・Gemini・Grok)

ChatGPT、Claude、Gemini、Grokといった汎用チャットAIは、もともと小説専用に作られたツールではありませんが、対話形式でプロットや文章を生成できるため、AI小説の入り口として使われることが多い選択肢です。

これらのツールに共通するメリットは、次のような点です。

  • 普段のリサーチや文章作成にも使い回せるため、追加で新しいツールを覚える手間が少ないこと
  • 対話を重ねながらキャラクター設定やプロットを詰めていけるため、前章で紹介した「AIとの共同執筆」を進めやすいこと
  • 文体や口調の指示に応じて、比較的柔軟に出力を調整できること

一方で、汎用チャットAIはあくまで汎用ツールであるため、長編小説を一度に書き切るような使い方には向いていません。章ごと・シーンごとに区切って生成し、人の手で構成をつなぎ直す作業が必要になる場面が多いという点は、あらかじめ理解しておくとよいでしょう。どのモデルが自分の書きたい作品ジャンルに合うかは、実際に同じプロンプトを複数のツールに試してみて、出力の雰囲気を比べてみるのが現実的な確認方法です。

小説特化型AI生成サービス(AIのべりすと・Genspark・Canvaなど)

一方、AIのべりすとのように「小説を書くこと」を主目的に設計されたサービスや、Gensparkのような生成AIプラットフォーム、Canvaのようなビジュアル制作を含む総合ツールも、AI小説を作るうえでの選択肢に挙げられます。

小説特化型サービスの傾向として、次のような特徴が挙げられます。

  • 地の文やセリフの生成に最適化されており、物語らしい文体をベースに出力しやすい設計になっていることが多いこと
  • 前章の最後で触れた挿絵・ビジュアル面の仕上げまで、一つのサービス内でカバーできる場合があること(Canvaなど画像生成・デザイン機能を持つツールが該当します)
  • ジャンルやシリーズ設定など、小説執筆に特化した入力項目が用意されているケースがあること

ただし、これらのサービスも進化のスピードが速く、機能や料金プランは変更されやすい分野です。導入を検討する際は、公式サイトで最新の提供内容を確認することをおすすめします。

目的別のツール選びの考え方

どのツールを選ぶべきかは、「何を優先したいか」で変わってきます。

  • とにかく手軽に試したい方:普段使っているChatGPTやGeminiなどの汎用チャットAIから始めるのが、追加コストや学習コストの面で無理がありません。
  • 小説らしい文体をベースに量産したい方:AIのべりすとのような小説特化型サービスのほうが、地の文の生成において狙った雰囲気を得やすい傾向があります。
  • 挿絵まで含めて作品として仕上げたい方:Canvaのようにビジュアル制作機能を併せ持つツールを組み合わせると、前章で紹介した挿絵仕上げの工程を効率化できます。

いずれの場合も、1つのツールに固定するのではなく、「プロット出しは汎用チャットAIで、本文の肉付けは特化型サービスで」といった組み合わせ方をしている書き手も少なくありません。ツールの優劣を決めつけるより、自分の作りたい作品のジャンルや工程に合わせて使い分ける発想が、AI小説と長く付き合っていくうえでは現実的な選び方といえるでしょう。

AI小説を投稿する前に知っておきたい著作権とルール

AIを使って小説を書けるようになった一方で、「これって著作権的に大丈夫なのか」「投稿サイトに載せてもいいのか」という不安を持つ方は少なくありません。ここでは、文化庁の見解と主要投稿サイトの最新ルールを整理します。

文化庁が示す「AIと著作権に関する考え方」

AIと著作権の関係については、文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が2024年3月15日付けで「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめ、公表しています(国立国会図書館カレントアウェアネス)。

この見解のポイントは、大きく2つに整理できます。

  • 学習段階:AIの学習データに第三者の著作物が含まれていても、非享受目的の学習(作品を鑑賞・利用させる目的ではない学習)であれば、一定の条件下では問題がないとされています(日経クロステック)。
  • 生成段階:AIが生成した作品が既存作品の著作権を侵害するかどうかは、既存作品との「類似性」と「依拠性」によって判断されます(同上)。

また、著作権の帰属についても重要な考え方が示されています。人がAIを単なる道具として使い、プロットの発想や文章の修正といった創作的な寄与を加えた場合は、その作品に著作権が発生し得ます。しかし、AIが自律的に生成しただけの文章には、原則として著作権は発生しないとされています(リードプラス株式会社)。つまり、「AIに丸投げした文章」と「AIを使いながら自分の創作性を加えた文章」では、権利の扱いが変わってくるということです。この違いは、後述する各投稿サイトのルールを理解するうえでも重要な前提になります。

小説家になろうのAI利用ルールと「設定義務化」の最新動向

小説家になろうは、2025年9月1日に「小説AI校正」機能を正式リリースするなど、AI活用を前向きに取り込んできたサイトです。2025年11月時点では、利用規約やガイドラインにAI生成そのものを明文で禁止する条項は存在しません(Zenn)。

ただし、無条件にAI任せの投稿が許されているわけではありません。運営側の実質的な運用として、次のような考え方が共有されています(腰ボロ作家の物語研究所)。

  • AIが生成した文章をそのまま投稿することは禁止
  • 投稿者自身による加筆修正・構成が必須
  • あらすじにAI使用を明記し、使用したAIの規約リンクを掲載する

さらに、公式ガイドラインでは「AI直接使用」という区分が定義されています。これは、本文中で単一の文章を超える「連続する文章のまとまり」としてAIが生成したテキストをそのまま使用している場合に設定するものです(小説家になろう公式ガイドライン)。

そして直近の大きな動きとして、2026年8月時点では、小説家になろうグループに投稿される全作品(R18作品を含む)を対象に、「AI利用状況」の設定を義務化する動きが進んでおり、その期限は9月1日とされています(AI革命株式会社メディア)。これまで任意だった開示が必須項目に切り替わろうとしている点は、これから投稿を考えている方は特に押さえておきたい変化です。

カクヨムのAI利用タグ制度(2026年5月改定)

カクヨムは2026年5月27日に小説投稿ガイドラインを更新し、生成AIを使用した作品について、使用状況に応じたタグ付けを推奨する制度を導入しました(カクヨムからのお知らせ)。

推奨されるタグは3段階に分かれています(カクヨム公式お知らせ)。

  • AI本文利用:本文の大半(目安50%以上)が生成AIによる文章
  • AI本文一部利用:本文の一部(目安50%未満)が生成AIによる文章
  • AI補助利用:AIのアイデアや資料を参考にしつつ、本文自体は作者自身が執筆したもの。校正での利用もこの区分に含まれます

「どこまでAIに任せたか」を数値の目安で3段階に分けている点が、なろうの「AI直接使用」の定義よりも一歩具体的といえます。自分の執筆スタイルがどの区分に当たるかを、投稿前に一度確認しておくと安心です。

商用利用・二次創作で注意すべきポイント

投稿サイトのルールに加えて、商用利用や二次創作を考える場合はさらに注意が必要です。前述の通り、AIが自律的に生成しただけの部分には著作権が発生しにくいため、出版や賞金付きコンテストへの応募などで対価を得ようとする場合、権利の所在が曖昧なままでは思わぬトラブルにつながる可能性があります。

なお、pixiv・カクヨム・小説家になろう・ノベルアップ+・プリ小説といった主要5サイトでは、いずれもAI創作の投稿自体は認められています。ただし、その多くでAI生成であることのラベル表示が必須とされています(atelier-ai.jp)。「投稿できるかどうか」と「開示が必要かどうか」は別問題であることを意識し、利用するサイトの最新ガイドラインを都度確認する姿勢が欠かせません。

AI小説をめぐる読者・作家コミュニティの受け止め方

AI小説をどう捉えるかについては、ルールの整備が進む一方で、読者や作家の間でも意見が大きく分かれています。ここでは規約の話ではなく、「人」がAI小説にどう向き合っているかという価値観の対立に焦点を当てます。

「AI小説」への賛否が分かれる理由

小説家になろうの質問板には、「AI利用の小説って一次創作ですか?」「最近のなろうAI小説多くないですか?」といったスレッドが立てられており、AI小説の位置づけそのものが利用者の間で共有されているとは言えない状況です。

この背景には、「小説とは何か」という根本的な価値観の違いがあると考えられます。

  • 創作性を重視する立場:物語を生み出す発想力や構成力こそが小説の価値であり、AIが下書きや補助を担っても、最終的に人が手を入れているなら問題ないという考え方
  • 執筆行為そのものを重視する立場:一文一文を自分の手で書き上げる過程に価値があり、AIが本文の大半を生成する時点で「小説」と呼ぶことに抵抗を感じる考え方

なろうの質問板では、「割合の厳密な基準はなく、AI生成と表記するかは作者の判断・モラルに委ねられている」という見解も共有されています。つまり、線引きの基準自体が曖昧なまま、個々の作者の裁量に委ねられているのが現状です。これがルール以前の「感覚の差」を生み、賛否が噴出しやすい土壌になっているといえます。

また、前段で触れた九段理江氏の『影の雨』や、星新一賞でAI小説が最終選考に残った事例のように、プロ・アマ問わずAIと文学の境界線が急速に曖昧になっていることも、賛否の背景として無視できません。既存の作家・読者コミュニティにとって、これは「新しい表現方法の登場」として歓迎される一方、「これまで積み上げてきた執筆文化への挑戦」と受け止められる面もあります。どちらの感覚も一方的に否定できるものではなく、価値観の違いとして併存しているのが実情です。

量産型AI小説が抱える品質面の課題

賛否の対立とは別軸で、しばしば指摘されるのが「量産型AI小説」の品質面の課題です。AIを使えば短時間で長編を書き上げることも技術的には可能になりましたが、それが必ずしも読者満足につながらないという懸念が語られています。

具体的には、次のような点が課題として挙げられがちです。

  • プロット・キャラクターの既視感:AIは学習データに基づいて自然な文章を生成する一方、独自性の強い展開よりも「ありそうな型」に寄りやすい傾向があるとされ、似たような作品が量産されると読者に既視感を与えやすくなります
  • 推敲・加筆の手間を省いた投稿への懸念:AIが生成した文章をそのまま、あるいはごく軽微な修正のみで投稿する作品が増えると、文章の粗さや整合性の甘さが目立ちやすくなるという指摘があります
  • 「一次創作」としての評価の揺れ:質問板での議論にもあるように、AI生成の比率が高い作品を従来と同じ基準で評価してよいのか、読者側にも判断のよりどころがない状態が続いています

もっとも、これらは「AIを使うこと自体」が問題というよりも、「どこまで人の手を加えるか」という運用の差によって品質にばらつきが生じている、という側面が大きいといえます。前段で紹介したステップ1〜5のように、プロットやキャラクター設定はAIに任せつつ本文の推敲を人が丁寧に行う、という共同作業のスタイルを取れば、量産型の課題は一定程度回避できると考えられます。

賛否の構図も品質面の課題も、まだコミュニティ全体で明確な答えが出ているわけではありません。次のセクションでは、こうした対立や課題を踏まえたうえで、AI小説と実践的に付き合っていくための考え方を整理します。

AI小説と上手に付き合うための3つのポイント

ここまで、AI小説の定義や最新事例、作り方のステップ、ツールの選び方、そして著作権・投稿ルールを見てきました。最後に、これらを実践に活かすための3つのポイントに整理します。

ポイント1 AIを「共同執筆者」として位置づける

九段理江氏の『影の雨』は本文の95%をAIが執筆した作品ですが、その裏には20万字にも及ぶプロンプトという人間の創作的な関与がありました。AIに丸投げするのではなく、プロットの方向性やキャラクターの個性、物語のテーマといった「核」を人間が握り、AIには表現の肉付けを担わせるという姿勢が、質の高いAI小説を生み出す土台になります。プロットからキャラ設定、本文執筆、推敲までの各ステップで、どこに自分の意図を反映させるかを意識してみてください。

ポイント2 投稿前に「利用状況の開示」を必ず確認する

小説家になろうでは2026年9月1日を期限にAI利用状況の設定義務化が進んでおり、カクヨムでも2026年5月27日の改定で「AI本文利用」「AI本文一部利用」「AI補助利用」の3段階タグが推奨されるようになりました。投稿サイトごとにルールが異なり、また改定される可能性もあるため、執筆を始める前に必ず最新のガイドラインを確認する習慣をつけましょう。「AI生成した文章をそのまま投稿しない」「加筆修正を加える」といった基本姿勢は、多くのサイトに共通する考え方です。

ポイント3 賛否の声を理解し、誠実に向き合う

AI小説には「一次創作と言えるのか」「量産化で読書体験が損なわれないか」といった懸念の声も存在します。こうした賛否は、なろう質問板でも見られるように利用者間で意見が分かれているのが実情です。批判を過度に恐れる必要はありませんが、開示の透明性を保ち、作品の質にも向き合う姿勢が、読者との信頼関係を築くうえで重要になります。

AI小説は、道具としてのAIの力を借りながら、人間ならではの発想や意図を反映させる新しい創作のかたちです。まずは短いプロットからでも、AIとの共同執筆を試してみてはいかがでしょうか。

まとめ

AI小説は、プロットづくりからキャラクター設定、本文執筆、推敲、ビジュアル仕上げまで、AIと対話を重ねながら形にしていく共同作業です。汎用チャットAIと小説特化型サービスは目的に応じて使い分けるのが現実的な選択といえます。投稿を考える場合は、小説家になろうの「AI利用状況」設定義務化(2026年9月1日期限)やカクヨムの3段階タグ制度など、サイトごとの最新ルールを必ず確認しましょう。AI小説には賛否の声もありますが、AIを共同執筆者として位置づけ、開示の透明性と作品の質に誠実に向き合う姿勢があれば、新しい創作のかたちとして楽しめます。まずは短いプロットから、AIとの共同執筆を試してみてください。

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